多読と精読は何が違うのか。多読がいつの間にか精読になる問題と対策
英語学習の話をしていると、「多読」と「精読」という2つの言葉が出てきます。どちらも「英文を読む」ことなのに、やり方も目的もほぼ正反対です。
この違いを理解しないまま多読を始めると、気づかないうちに精読になっていて、語数がまったく伸びないという状態に陥ります。実際これは、多読でつまずく人の典型的なパターンです。
この記事では、多読と精読の違いを整理して、どちらをいつやるべきかを考えます。
多読と精読は何が違うのか
精読とは
精読は、1つの英文を徹底的に理解する読み方です。
- 分からない単語はすべて調べる
- 文の構造(主語・動詞・修飾関係)を分析する
- 1文に何分かけてもよい
- 目的は「正確に読む力」を鍛えること
学校英語や大学受験の英文解釈は、基本的にこちらです。
多読とは
多読は、大量の英文に触れることで自然に英語力を上げる読み方です。
- 辞書を頻繁に引かない
- 分からない箇所は飛ばして読み進める
- 楽しく続けられる教材を選ぶ
- 目的は「速く読む力」と「英語のまま処理する回路」を作ること
並べてみる
- 精読:狭く・深く。1文の理解度を100%に近づける
- 多読:広く・浅く。理解度80%でいいので量を通す
ここが重要なのですが、多読における「分からないまま進む」は手抜きではありません。分からない箇所を残したまま全体の意味をつかむ、という技能そのものを鍛えています。実際の英語使用場面では、辞書を引きながら読める状況のほうが稀です。
なぜ多読が精読になってしまうのか
多読を始めた人が最初にやりがちな失敗が、「分からない単語を全部調べる」ことです。
気持ちは分かります。分からないまま進むのは気持ち悪いですし、「せっかく読むなら理解したい」と思うのも自然です。ただ、これをやると次のことが起きます。
- 1ページに時間がかかる
- 1日に読める量が激減する
- 語数が伸びないので、読解スピードも上がらない
- 成果が見えないので、続かなくなる
結果として、多読の効果は得られず、精読の効果も中途半端という一番おいしくない状態になります。
私が使っているアプリには AI辞書という便利な機能があるのですが、便利すぎるがゆえに調べすぎてしまうという副作用もあります。意識して抑える必要があると感じています。
どちらをいつやるべきか
精読が必要な場面
- 英文の構造がそもそも取れない(主語と動詞が分からない)
- 基礎的な文法項目に穴がある
- 試験直前で、特定の設問形式に慣れる必要がある
土台がない状態で多読をしても、「分からない箇所を飛ばす」の飛ばす量が多すぎて何も残りません。まずは精読で構造を取る練習が要ります。
多読が必要な場面
- 読めるが、時間内に読み終わらない
- 1文ずつ日本語に訳しながら読んでいる
- 返り読みの癖が抜けない
- そもそも英語を読む習慣がない
特に最後の項目に当てはまる場合、精読はほぼ機能しません。負荷が高すぎて続かないからです。私自身、机に向かって英文を読むこと自体が続かないタイプでした(経緯はこちら)。
両方やるなら、どう組み合わせるか
現実的なのは、比率で考えることだと思います。
- 基礎固めの時期:精読7 : 多読3。まず構造を取れるようにする
- 速度を上げたい時期:精読2 : 多読8。とにかく量を通す
- 維持したい時期:多読中心。精読は気になった箇所だけ
もう一つの組み合わせ方として、教材で分ける方法があります。問題集は精読、漫画や小説は多読、と決めてしまえば「今どっちをやっているのか」が混ざりません。混ざることが一番の問題なので、これはかなり有効です。
多読を精読にしないための4つのルール
- 1ページに1回までしか辞書を引かないと決める
- 意味が推測できたら調べない。正確さより速度を優先する
- 同じ単語に3回出会ってから調べる。重要な語は必ず再登場します
- 読んだ語数を記録する。量が可視化されると、止まっていることに気づけます
4つ目については、読書ログ機能が自動で記録してくれるので、自分で数える必要はありませんでした。
まとめ
多読と精読は、対立するものではなく役割が違う道具です。
- 精読 → 正確に読む力。知識の穴を埋める
- 多読 → 速く読む力。知識を使える状態にする
問題は、多読をしているつもりで精読になっているケースが多いことです。「分からない箇所を残したまま進む」ことに罪悪感を持たない——これが多読を多読として成立させる、最初のハードルだと思います。
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